第1章 始動 chapter6『激槍のカーティス』
ー???ー
「これから第283回ガイア12使徒定例会議を行う」
壮年の男がそう告げる。
「おや?アナスタシアちゃんとジーク君は今日も欠席かい?」
「そうみたいだな、いつもの二人か」
「ケケケ、どうせ『話の進まない会議は時間の無駄』だの、『下らん』だの言ってまーたサボっちゃてんのさ!」
「サーガ、口を慎め。マルコシアス様の御前だぞ」
「なんだディートリンデ?俺様のバハムートちゃんの餌にしてやろうか?」
「そういえばカーティスも居ませんね」
「あの仕事熱心のカーティス君がぁ?仕事ポカしちゃったかあ?」
「口を慎めと言ってるだろ、サーガ!」
「ガイア12使徒№Ⅵ、激槍のカーティス只今戻りました」
そう言って紫髪の長身の男が椅子に腰をかける。
「あるぇ~?カーティス君遅刻じゃないかなぁ?」
「すまなかったな、サーガ。今回の会議の件で有力な情報を探っていた」
「ちっ、優等生ぶりやがって!俺より序列は下のくせに!」
「え~諸君ら静粛に、現在『三界』の1つである『現界』が危機的状況に陥ってるのは分かっているよな」
「ルシファーの件ですね」
「もちろんその件もあるが、ルシファーの対抗勢力として現界に新たな脅威が誕生しつつある」
「新たな脅威とは・・・?」
「ザルツブルク帝国の亡霊・・・彼らは自らを『Rebirth』と呼んでいるな」
「あの古代対戦時代の帝国!?しかし魔王の対抗勢力であれば現界にとっては脅威とはならないはず・・・」
「それがその指導者である者が行き過ぎた思想の持ち主でな。自分に従わない者はどんな生命体であれ淘汰するといった感じで、現界のありとあらゆる生命を奪っておる」
「自分と同じ思想の者だけを選別して生存させる・・・ある意味ルシファーより恐ろしい存在かもしれませんね」
「その件で、カーティス。君に調査をお願いしていた筈だが?」
「ええ、Rebirthに対抗できる存在を日本国にて発見しました」
「ほほう」
「彼の名は、『富井 高志』。零属性の持ち主です」
「なっ!?零属性?ガイア様やマルコシアス様と同じ!?」
「我々12使徒の殆どですら扱えなかったあの属性を現界の人間如きがぁ!?」
「そうだな、彼は特別な存在、調査したところあの御方の弟子についていたという過去も持っているらしい」
「成程。では引き続きその件はカーティスに任せよう。必要あらば他の使徒を同行させるが?」
「いえ、私一人で問題ないです。単独の方が調査も捗りますし。また進捗があれば報告いたします」
そう告げると、カーティスは椅子に立てかけていた身の丈程の槍を背負い、その場を後にした。
「そうか、では他の使徒は引き続き三界の監視を続けて貰いたい」
「分かりました」
「仰せのままに」
「御意」
「零属性の所持者か・・・さて、世界の命運はどう出るかな?」
第1章「始動」 完